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万博とどうでしょうのあいだから…

またまたどうでしょうサイトからの転載ですみません。

が今度もまた、うんうんと頷き、そうかと膝を打つ内容でした。

4月になったある日、万博記念公園に行きまして、ミュージアムで藤村さんの言う当時のフィルムを見てきましたが、確かに同じものを感じました。

私自身は小さくて大阪万博は見られなかったのですが。

これからの若者は何を懐かしいと思うのでしょう?

普遍的に変わらぬ部分と、今の時代の抱える閉塞感、空虚感の一部を感じつつある、私の気持ちを少し代弁してくれている気がしました。

正体は分からない、不安な時代、不満な世界。

打開したいと思いつつ、私はつたない筆を動かし続けます。

*****以下転載****

4月9日月曜日。藤村でございます。

韓国のアイドルグループの番組、そして「ヨーロッパ企画です」のDVDの編集がひと段落したところであります。

一部略


さて、今日の日記はちょっと長いです。

みなさんは、九州新幹線のCMをご存知でありましょうか。昨年、カンヌの国際的なCMコンクールで最優秀賞を獲得したCMであります。

九州新幹線が全線開通することを祝って制作された「3分」というこの長いCMは、しかし、あまり人の目に触れることなくお蔵入りとなりました。なぜなら、たったの3日間しか放送されなかったからです。

九州新幹線が開通したのは、昨年の3月12日。大震災の翌日でした。従って、祝賀ムードを全面に押し出したこのCMは、すぐさま放送自粛となったわけです。

もちろん私も見たことがなかったんですが、「あのCMはすごくいい」という話を聞きまして、ユーチューブで検索して見ましたら、思わず目頭が熱くなりました。嬉野先生に聞いたら、先生も「あれは泣けます!」と。

CMの内容は、とても単純です。全線開通を前にした2月20日。鹿児島中央駅から博多駅まで新幹線が試験走行をします。その「走る新幹線の映像」と、「新幹線に向かって手を振る人たちの映像」を、ただ3分間つないだだけのCMです。

あれはねぇ、まず「編集が完ペキ」なんです。「走る新幹線」と、「沿線で手を振る人たち」という、たった2種類の映像で「3分間も見せる」というのは、これは相当なセンスがないと作れない。

しゃれた映像とか、凝った映像ならば、それをただ見せるだけでも一応、成立はするんです。だから映像を作る人は、まずは撮り方を工夫する。まずはそこにセ ンスを発揮して、人目をひくことを考える。でも、撮影した映像自体が単純だと、見ている方はすぐに飽きてしまって、ただのホームビデオになってしまう。こ うなると、「編集」のセンスを発揮するしかありません。

九州新幹線のCMは、ただ単純に、鹿児島から博多まで走る新幹線の映像と、それに手を振る人々の映像を、時系列で並べているだけです。でも、この単純な映像の羅列に私は見入ってしまい、感動してしまう。

「編集」が、抜群にいいからです。

たとえば、あなたがホームビデオで子供の学芸会を撮ったとするじゃないですか。三脚を立ててビシッと舞台を撮る。ファインダー越しに見える子供の姿にあな たは感動するわけですよ。でもそれを家族以外に見せたって、誰も面白いとは思わない。それはただ単に「学芸会がありました」という「事実」しか相手に伝 わってないからです。5秒も見れば、それはわかる。「あぁ学芸会があったんですね」と。別に人に見せるのが目的じゃないからそれでいいんだけど、これを人 に見せて、自分と同じように感動してもらうためにはどういう編集をしたらいいか?

たとえば、子供の舞台の映像の合間に、となりでじっと見ている奥さんの顔を入れていくわけですよ。最初はうれしそうに舞台に向かって手を振っている奥さん が、子供の出番が近づくにつれて心配そうな顔になる。やがて奥さんが、ハンカチを取り出すわけですよ。涙ぐんでいるわけですよ。幕が下りたときには、拍手 もしなきゃいけないし、涙も拭かなきゃ行けないし、みたいなてんやわんやになっているわけです。こういう奥さんの様子を、子供の舞台の合間に姑息に入れ込 んでいくわけです。そうすると、「学芸会の出し物はたいしたことないけど、それを見ていた私たちは感動してしまった」という主題が相手に伝わる。主題が伝 われば、たいしたことのない学芸会でも、相手は見ていられる。で、最後は奥さんに感情移入して、「いい舞台だったね!」と、一緒になって涙ぐむわけです。 そのためには、「編集」で、「どのタイミングで奥さんの顔を入れ込むか」ということも大事だけれど、もっと大事なのは、「奥さんの表情のどこを使うか」と いうところです。

たとえば、舞台の幕が開き、いよいよ子供が登場する。奥さんが力いっぱい手を振っている。そんな奥さんの映像を入れ込むとき、「奥さんが手を振り上げた瞬 間」の映像を入れれば、奥さんの「高揚感」が伝わる。「手を振っている最中」の映像を入れ込めば、奥さんの「うれしさ」が伝わる。「手を振るのをやめた瞬 間」の映像なら、奥さんの「緊張感」が伝わる。その「どこを使うか」によって、見る人に与える印象が変わってきます。

九州新幹線のCMは、その映像の選び方、その映像と次に来る映像のつなぎ方、そこに入れる音楽、テロップの書体、ナレーションが入るタイミング、そのすべてがよどみなく、完ペキでした。映像制作を志す人は、絶対に見た方がいいと思います。

と・・・ここまで言ったら、ほとんどの人はさっそくユーチューブを開いて、実際にあのCMを見てみるわけじゃないですか。で、見てみたら、「そこまで感動はしなかった・・・」と思う人もたぶん数多くいると思います。

それはなぜか?

さて、ここから話が少し変わってきますが、

ではなぜ?私はあのCMに感動してしまったのか。

私はあの映像に、「懐かしさ」を見てしまったからです。

あの映像の羅列が、一種の懐かしさを私に喚起させたからです。

あのCMの「主題」は、「新幹線が開通するうれしさ」ではなく、私にとっては「懐かしさ」だったんです。

私は、東京から新大阪まで新幹線が開通した翌年、東京オリンピックが開かれた翌年の、昭和40年に生まれました。小学校のときに札幌オリンピックが開か れ、大阪万博が開かれました。あのころ、ようやく日本という国が世界で認められた、世界の先進国の仲間入りをしたと、多くの日本人が思った時代でした。

私もたぶん、その時代の高揚感を、幼心に感じていたんだと思います。

「日本の科学技術が進歩した」「世界が注目するイベントが日本で開かれた」「それは喜ばしいことだ」と、誰もが疑うことなく、みんなで万歳三唱していた時代。それが懐かしかった。

だから今、「新幹線が開通する」という、そんな単純な出来事に、あの頃のように喜ぶ九州の人たちの姿を見て、思わず涙が出てしまったという、そういうことです。「感傷に浸ってしまった」という、ただそれだけのことです。

でも、そんな時代を知らない若い人たちには、「なんかすごく盛り上がってますね」としか映らない。だから、感動まではいかない。その感覚は、正直だと思います。

私が四十を過ぎた今、時代が変わった今、私は、また東京でオリンピックを開催しようということに、愛知県で万博を開催したことに、新幹線を北海道まで伸ばすことに、少なからず疑念を感じています。私たちの時代はもう、そんなことを求めてはいないんだと。

その通りなんです。あのCMの裏を返せば、「新幹線が開通するって、スゴいことでしょう」という、今の時代にはそぐわない意志が隠されているんです。

そこが見えてしまうと、感動なんかできない。

でも、だからこそ、平成の時代に大人になった私たちは、平成の時代に生まれた若いやつらは、これから、どんなことに感動するのか、どんなことに思わず涙ぐんでしまうのか、どんなことにみんなで大きく手を振れるのか、それを考えてみないといけないと、思いました。

考えてみても、それがなんなのかは、まだわからないし、いや、もしかしたら、みんなで一緒に万歳三唱するなんてことは、もうないかもしれない。

「みんなで一緒に」ということを求め過ぎると、それは「挙国一致」という考え方につながって、「戦争」というわかりやすい破壊行為によって、またイチから この社会を作り直すということでしか、「みんなで一緒に」なんてことはあり得ないんじゃないかと。社会が成熟するということは、多様な考え方が生まれて、 その多様性を寛容に受け入れるということだと思うんです。ということは、「みんなで一緒に」という単一思考が支配する社会は、成熟していない社会ではない かと。

だったら、この先、「みんなで万歳三唱」なんてことを求めない社会のほうがいいではないかと思い至ったんです。

いろんな意見を受け入れる寛容性というものが、今の日本にはあんまりないぞと思ったときに、これはいかんぞと思った次第です。

いや、なんだかちょっと最近、ヒゲの白髪がめっきり増えてきたんでね、そんなことを思ってしまいました。

よし、また明日。

******転載終*****

YOUTUBE動画

http://www.youtube.com/watch?v=UNbJzCFgjnU

万博記念公園に行った時の写真をアルバムに上げました。

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