東京では大雪警報が出て、積もるほどの雪でした。
その日の昼前に東京を発って、雪深い越後の国を経由して富山県笹津に行きました。
雪国だろうからさぞや寒かろうと思って重装備でロングコートとスノーブーツで訪れたのですが朝出てきた東京のほうがよっぽどで、積雪0。
なんだか拍子抜けでした。
ホテルを市内にとって在来線の高山線に乗ろうとホームに行くと目の前には1両編成の市電並みの短い車両の電車が止まっています。
まさか、これは「何か整備員や工事の人でも載せて行く作業者だろうと思って、とりあへず前に廻って表示板を見ると「猪谷」行きと出ていました。
何かわからない衝撃を受けつつ自分でドアを押し開けて乗車しました。
ピーーーッ警笛が鳴って出発しました。
ゴロンゴロンゴロンオロン。 車体全体から振動が体に伝わってきます。
?。?。? 。
一緒に乗っている友人と顔を見合わせ、不思議な電車だと首をかしげつつ乗っていました。
線路は雪の積もる田んぼのなかを、単線の二本きりのレールを走っていきます。
かなりの角度のカーブを勢いよく走っていきます。
密集してすれ違う東京じゃあ考えられません。
笹津の駅について、なんだか妙な懐かしさを感じていた私は、1両編成の去ってゆく電車を見送ってから気がつきました。
パンタグラフも、電線も無いじゃありませんか。
そうです、懐かしいのもそのはずです。
子供のころ、お盆に父の実家の会津に向かう時に乗った、ディーゼルカーだったのです。
ああ、そういえば、この体に伝わる振動も車両の天辺から吹き上げる黒い煙も、とても馴染みのあるものだったのです。
随分と田舎に来たもんだと思って、駅前を見渡すと何にもありません。
何でもかんでも売っている雑貨屋やたこ焼き屋さんがあるのみ。
ふうっと周りを見回すと、遠くのほうの小高い丘の頂上に変な建物が見えます。
白くて角ばっていていかにも人工物ですって感じのそれは「風の城」というもののようです。
懐かしい子供のお菓子をいくつか買い込み、雑貨屋のおじさんに聞くと風の城までは駅から30分くらいでいけると教えてくれました。
予定の時間より1時間ほど早くついていたので、友人が私の高いところ好きな事を理解していてくれたので、散歩がてらに向かいます。
駅前通りを抜け山道を登ります。
平坦になったと思うとそこは、真っ白な田んぼでした。
小高い山の山頂からなだらかに続く一面の銀世界、チョコチョコと飛ぶ小さな小鳥たち。
素敵な景色に感動と興奮を覚えました。
しかし、見える「風の城」はいつまで歩いてもたいして近づいてきません。
んーーー。
友人と二人、トコトコ、トコトコ。
30分経ちましたが、まだあと1/3の距離があります。
しかも見えているのはかなりな急坂な上、雪が積もっていました。
「店屋のおじさんは、実際には歩いてないんじゃない?」友人多少憤りつつ、せめてもと、
風の城のすぐ下にある小さなスキー場まで行きました。
友人は「一度もスキーはしたことが無い」とのことで、初めてのスキー場体験」だったようです。
さて、そこで折り返し、ふもとの駅を越えた本当の目的地のリバーリトリートに向かいました。
神通川沿いのダムが見えるレストランで食事してディナーショーを見ました。
演者の琵琶奏者、友吉鶴心さんの計らいで(友人はお顔見知りだそうで、私はその恩恵のおこぼれを頂いたわけですが)
川が見渡せる絶景な露天風呂の温泉にも入らせていただき、富山の旅は
楽しく過ぎてゆきました。
会場でお会いしたお知り合いの方と3人で富山駅前の喫茶店に入ったのですが、
そこはパフェセットを注文するとかわいらしい宝石箱をもれなくプレゼントしてくれるとか、
駅ビルの中の食堂で食べた富山名産白えびの天丼も馬鹿みたいに美味しかった。
2度目の富山でもお城に登り、富山、良いとこだなあと思いました。
ランニングも出来たし、また来たいなと。
東京に帰った翌日からは富山も雪が降って寒さも厳しくなったようです。
よい時期にあたったみたいです。
その模様もいずれフォトアルバムにアップします。
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